養育費を払わない相手|差し押さえをする方法を解説
離婚をする際に、養育費を支払う取り決めを行ったにもかかわらず、元配偶者が養育費を支払わない場合には、元配偶者の給料等の財産を差し押さえることが、問題解決の方法として挙げられます。
以下では、養育費未払いの相手の財産を差し押さえる方法について、解説していきます。
差押えの要件
養育費について差押えするためには、①債務名義があること、②元配偶者の現住所が判明していること、③差押えの対象となる財産を把握していることが必要となります。
①債務名義
差押えとは、債務者の財産を強制的に債権者に渡す強制執行の手続きであるため、債権者側にそれを行う権利があること、すなわち、今回であれば、養育費を請求する権利があることが証明されている必要があります。
そして、債務名義とは具体的には判決書などをいい、債務があることを国が公的に認めた文書であるため、強制執行をするためには、この債務名義が必要となります(民事執行法22条)。
養育費の回収の場合は、以下の文書が債務名義となりえます。
・強制執行認諾文言付きの公正証書で養育費を取り決めた場合、その公正証書
・離婚訴訟などの判決で養育費が決まった場合、その確定判決
・訴訟上の和解によって養育費を決めた場合、その和解調書
・離婚調停などの調停で養育費が決まった場合、その調停調書
・養育費を求める審判によって養育費が決まった場合、その審判書
②元配偶者の現住所の特定
差押え命令は裁判所が発するものであり、債務者である元配偶者に対しても送達する必要があります。
そのため、差押えを行うにあたっては、元配偶者の現在の住所を知っている必要があります。
元配偶者の住所がわからない場合には、戸籍の附票や住民票を取り寄せて調査する必要がありますが、弁護士であれば、職務上請求によってこれらの書類を簡単に取り寄せることができます。
③差押え対象財産の特定
差押えの対象財産としては、不動産、動産、債権などがありますが、養育費回収の場合は、一般的に、債権のうちの「給与」や「預貯金」を差し押さえることとなります。
そして、上記財産が特定されていなければ、裁判所が差押えの強制執行をすることができません。
裁判所が代わりに財産を探し、特定してくれるということもありせん。
したがって、給与債権を差し押さえるのであれば職場を、預貯金を差し押さえる場合には、元配偶者の預貯金がある金融機関と支店名を特定する必要があります。
財産の調査、特定の場合には、弁護士であれば弁護士会照会制度を利用し、調査することができますし、財産開示という制度も利用することが可能です。
裁判所を通じての差押え手続きの流れ
差押え手続きの全体の主な流れとしては、①民事執行手続きの申立て、②裁判所からの差押え命令、③各機関へ取り立て、となります。
①民事執行手続きの申立て
差押えをするためには、元配偶者の財産所在地を管轄する裁判所に強制執行手続きを申し立てる必要があり、以下の書類が必要となります。
・申立書
・債務名義の正本
・執行文(債務名義の種類によっては不要)
・送達証明書
・資格証明書
・申立手数料(収入印紙)
②裁判所からの差押え命令
上記の申立書類の内容に不備などがなければ、裁判所から差押え命令が出されます。
そして、債務者の財産を差し押さえる旨が記載された差押命令正本が、債務者たる元配偶者と第三債務者に送達されます。
第三債務者とは、差押えの対象となっている債権の債務者をいい、給与債権を差し押さえる場合には支払い元の会社、預金債権を差し押さえる場合には銀行が第三債務者となります。
③各機関へ取り立て
通常は、第三債務者に直接連絡し、支払先口座を指定した上で、そこに差し押さえた給与分や預貯金を入金してもらうこととなります。
もっとも、預貯金債権を差し押さえた場合は、銀行によって必要書類が異なるため、金融機関への確認が必要です。
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