相続人がいない(相続人不存在)の場合の手続き|財産はどうなる?
高齢化や生涯未婚の人が増加している現在、亡くなった後、その人の遺産を相続する人がいない事例が増えてきています。
相続する人がいなかったら、その遺産はどこへ行くのでしょうか。
今回は、相続人がいない場合の手続きについて、遺産がどこに行くのかも併せて解説します。
相続人がいない場合とは?
亡くなった人の遺産を相続する人がいない状態を「相続人不存在」と言います。
相続人がいない状態とは、次の3つが考えられます。
- 法定相続人がいない
- 相続放棄している
- 相続欠格または相続排除されている
上記のようなケースでは、相続人不存在とされます。
遺産はどこへ行く?
相続人がいなかったら、遺産はどこへ行くのでしょうか。
ここでは、相続人がいない場合の遺産がどこに行くのかについて解説します。
遺言書がある
遺言書に、遺産を遺贈することが書かれていれば、それに従うことになります。
遺贈先に個人や法人などの制限はないので、生前世話をしてくれた人や、学校や自治体など遺贈することも可能です。
特別縁故者がいる
特別縁故者とは、亡くなった人(被相続人)と親密な関係にあった人のことで、次のいずれかに当てはまる人になります。
- 被相続人と生計を共にしていた
- 被相続人の療養看護に努めた
- 被相続人と特別の縁故があった
内縁の配偶者や、無報酬で被相続人の看護や介護をしていた人、または口約束であっても財産を譲ると言われていた友人・知人などが該当します。
このような人がいたら、家庭裁判所に申立てを行い、それが認められれば相続が可能です。
国庫に帰属
相続人不存在で、遺言もなく、特別縁故者もいなかったら、遺産は国のものになります。
相続人がいない場合の手続き
ここからは、相続人がいない場合の手続きについて詳しく解説していきます。
相続財産清算人の選任申立て
被相続人の財産を管理するための「相続財産清算人」の選任の申立てを、特別縁故者などの利害関係がある人が家庭裁判所に行います。
相続財産管理人は家庭裁判所から選任されますが、通常は地域の弁護士が担当します。
相続財産管理人が選任されると、官報に被相続人の死亡が公告され、相続人がいたら名乗り出るよう求めます。
債権申出の公告
官報の広告から2か月以内に相続人が現れなかったら、今度は債権者がいれば2か月以内に名乗り出るよう公告されます。
相続人捜索の公告
再度相続人捜索の公告を、今度は6か月以上設定して行います。
相続人不存在の確定
相続人捜索の公告の期限が終わって誰も現れなければ、相続人不存在が確定します。
特別縁故者への財産分与申立て
相続人不存在の確定後、3か月以内に特別縁故者が申し立てを行い、認められれば遺産を相続することになります。
まとめ
今回は相続人がいない場合の手続きを、その遺産がどこへ行くのかと併せて解説しました。
法定相続人がいない状態で、生前に何もしていなかったら遺産は国のものになる可能性があります。
あらかじめ法定相続人がいないことが分かっているのであれば、世話になった人や団体などに遺贈する遺言書を作成しておくといいのではないでしょうか。
遺言書の作成には法的に有効とされる書式などがあるので、弁護士に相談することをおすすめします。