介護をした人は相続で有利になるのか
■相続人は遺言書や親族関係で決まる
相続によって財産を取得する人のことを、相続人といいます。
亡くなった方が遺言を作成していた場合は、遺言書に記載された人が遺言書に記載された内容の相続財産を受け取ることになります。
これに対して、遺言が作成されていなかった場合は、民法の規定にしたがって相続人が決まります。具体的には、亡くなった方の配偶者は常に相続人となり、配偶者の他に、①子、②直系尊属、③兄弟姉妹という優先順位で最上位の者が相続人となります。
このように、介護をしていたか否かと相続人になれるか否かは、基本的には無関係です。ただし、被相続人が介護者への感謝を込めて遺言書を作成し、相続人に指定した結果、相続人になれるということはあり得ます。
■寄与分・特別寄与料とは
相続人が被相続人を介護しており、これが「特別の寄与」(民法904条の2第1項)に該当する場合、相続額の増加が認められます。これを寄与分といいます。
寄与分は共同相続人全員の協議によって定められることとされています。寄与分が定められた場合、この金額は相続財産から控除され、寄与者は通常の相続分に加えて寄与分を取得することができます。協議による決定が難しい場合は、家庭裁判所において寄与分が定められます。
また、民法1050条1項では、相続人以外の親族にも寄与に応じた金銭支払請求権が認められています。これを、特別寄与料といいます。
ただし、寄与分や特別寄与料の要件である「特別の寄与」は高いハードルとなっています。